2023.7.4

ヘルスケア企業と地域の連携による健康促進プロジェクト「N;town」

ヘルスケア企業と地域の連携による健康促進プロジェクト「N;town」
地域のヘルスケア企業が連携して住民の健康を促進するプロジェクト「N;town」。福岡県宗像市を舞台にトータルヘルスケアの提供を目指し、共通カルテを始めとしたプロジェクトの取り組みやDemodayの実態をレポートしました。

地域住民の健康をつくる「N;town」

N;townとは、ヘルスケアをテーマに集う地域の企業が連携し、仮説検証や事業創出を行いながら住民の健康をつくっていくためのプロジェクトです。

企業と住民が共に検証やディスカッションに参加することで両者が地域における課題を認知し、当事者意識から健康への予防医療に積極的な行動変容を促すことを狙いとしています。
また、各企業が連携して共通カルテを作成することで、住民に対してヘルスケア目標を一本化し、食事や運動に対する統一されたサービス提供をしていくことが可能となる点がこのプロジェクトの強みとされています。

今回このN;townを立ち上げた宗像経済新聞編集長兼弊社子会社Comunion代表取締役の中村さんは、「くりえいと宗像」を歩いていた際にメディカルゾーンを見つけ、その際に事業者同士がうまく連携できていないことを知ったとのこと。そこでこのN;townを立ち上げ「共有カルテ」を構築することで、企業同士の連携を促せるのではないかと思い発足に至ったと語ります。
くりえいと宗像にあるくりえいと通り

くりえいと宗像にあるくりえいと通り

この「くりえいと宗像」というのは福岡県宗像市にある複合ショッピングセンターで、「宗像市の未来(あす)を創造(クリエイト)」をコンセプトに住民がいきいきとした生活を送れる街づくりを目指して建てられました。

コミュニティゾーンや商業ゾーン、メディカルゾーンといった様々な分野が一体となった複合タウンとなっており、歴史文化や市民性を活かしながら住民の更なる暮らしよさを目指すこの施設だからこそ、今回のプロジェクトで更なる企業連携に繋げたいと感じたそうです。

また、プロジェクトを運営するにあたっては、元々各事業者とのコミュニケーションは取れていたため、事業者にとって「何が課題なのか、何を求めているのか」という点はある程度把握できていたそう。ですが、「どのように事業連携をしていけばいいのか」というアイデアはありませんでした。

そこで中村さんは「アイデアは共感していただいた企業様と一緒に出していけばいいのではないか」と思い、事業連携をするためのワークショッププログラムを提案したことで、「N; town」が動き出しました。

「動き出す際にある程度の出口は考えて提案します。それが今回は『共通カルテ』です」と中村さんは話します。

最初に描いていたものは抽象度の高いものだったのですが、実際に現場に足を運んで話を進めていくことで、いい意味で想定外の出来事がたくさん起こり、スムーズに事業連携が進んでいったそうです。中村さんは「これがまさに『計画的偶発性』で、これを起こすにはまず最初の一歩目を踏み出すことが大事だと実感した」と仰っており、これこそがN;townが地域に密着して「ゲンバ」を大切にする理由だと述べていました。

「N;town Demoday」を宗像で開催

Demoday現地の様子

Demoday現地の様子

そんな地域と密に連携を取りながら進んでいくN;townは、4月に福岡県宗像市でDemodayを実施しました。

今回は「くりえいと宗像」にテナントを持つ企業が中心にプロジェクトを進めており、参加企業は身体機能の観点から「エニタイムフィットネス」「リフレ」の観点から「ぶどうの樹」医療の観点から「くりえいと調剤薬局」、そしてそれらをまとめるプロジェクトオーナー「くりえいと宗像」です。

Demodayでは長座体前屈や握力、バランスの測定と健康に関するアンケートを行う「大人の体力測定」を実施し、参加企業の持つ健康ノウハウや商品を提供しながら参加住民には自分自身の健康状態を楽しく認識していただきました。その上でプロジェクトでは宗像市民における肥満者や低体重、運動習慣に関して全国データと比較し、地域としてどのような傾向や課題があるのか、改善のためにはどういった施策を地域として実施すべきかの仮説検証していくことを目的として取り組みました。

以下はDemodayを通して感じたN;townプロジェクトに対する参加企業の声です。

「エニタイムフィットネス」

N;townに参加したきっかけとしては、そもそも健康促進系の事業に取り組みたいと思っており、なかでも直接お客様の手になにかを届けられる事業に対して興味を持っていました。プロジェクトを通してフードショップのような普段接点のない業種と連携できることはとても面白く、この事業に携わってくださった市民や関係者の健康意識を高めることが出来たら嬉しいと感じています。様々なテナントさんとコミュニケーションを取れることはありがたいので、そのメリットを活用してもっと地域を活性化させていきたいです。

「リフレ」

私たちは運動の機会を提供しながら健康促進を広めていく企業ではありますが、健康とは生活習慣が密に関わってくるため、運動だけでこれを広めるのは簡単ではないと感じていました。そのため、運動だけでなく食事の指導や睡眠の指導といった生活における全てに関してアドバイスをしていきたいと思っていたものの実際取り組むにはハードルが高く、そういった意味で自分たちのやりたいことが全部詰まっていたこのプロジェクトには参加しない理由が無かったです。薬や運動、食事といった人々の生活を取り巻く大事な要素が提携し合っていることはとても理想的で、関わった企業全てがWIN-WINになるような連携に今後もしていけたらと思っています。

「グラノ24K ぶどうの樹」

もともと病院スタッフの健康促進を目指す料理を提供するといった「食べて健康」をモットーに事業を進めており、ベジファーストの推進なども行っていく中で、くりえいと宗像さんからこのプロジェクトのお誘いを受けました。自分達が食品を作る中で何を誰に提供するかという観点や病気予防におけるエビデンスという観点など、自社単独では出来ないことをできるのは嬉しく感じています。住民の方々の声をリアルに聞くことができるのでこういった市場調査をできることも嬉しいですし、そのような生の声を商品に反映させながら市民の健康における意識づけに繋げていけたらと思います。

「くりえいと調剤薬局」

このプロジェクトを通して地域住民の方達と直接関われることがとても嬉しく、またこれまで関わることのなかった職種の企業さんの良いところをたくさん発見する機会となりました。その気づきを踏まえて今後は何が出来るのか、どんな連携をすべきか、と考えるきっかけを得られる事もできましたし、そういった連携を通して自分達だけではできなかった部分をサービスとして提供できるチャンスがあることもとても嬉しく思っています。この活動をもっと進めることでまずは参加住民の母数を増やしていき、仮説検証の解析も進めていきたいです。
Demoday参加企業の集合写真

Demoday参加企業の集合写真

また今回は当プロジェクトを「企業の垣根を超えて新規事業を外部で取り組む『出島戦略』のR&D」として大企業向けにDemodayツアーを並行して行っており、なかなか企業内では主体的に推進することが難しい新規事業開発のPoCを見学いただきました。

実際現地で参加された大手製薬企業の新規事業担当者は「このように地域の住民だけが集まる実証実験の場は珍しく、都内で考えるだけでは簡単に新規事業が生まれないことを再認識しました。何か一つでも宗像で一緒に進めていきたいと感じましたし、なぜこの地で取り組むのか?という点を深めていけたらと思います。」との感想を述べ、現地に足を運ぶこと、宗像で新規事業に取り組むことの有意義さを感じたそうです。

くりえいと宗像の持つヘルスケア構想に参画することで、地元企業のみならず大企業の事業開発にもつなげることの可能性も秘めたこのプロジェクトに対して、オーナーのくりえいと宗像は「地域住民から多くの意見を得ることができたので、これらを参考にさらに企業連携を深め、地域の健康促進に繋げていきたい」と意気込みを見せていました。

N;townがつくるこれからの未来

今回のDemodayでは地域住民140人のデータを2日間で採取することができ、それらから得られたデータとしては、まず健康面では宗像における住民の結果が65歳男性を除いて日本の目標値を達成しており、健康状態や運動習慣に関しての問題は見られないという結果が得られました。
しかし体力面では平均値を超えている群が20%程しか見られず、筋力や柔軟性という点で課題も発見されています。このような結果はフレイルや骨折などの怪我につながる恐れがあり、良好な運動習慣を有意義なものにするためには運動における実践内容の改善が必要であることも判明させることができました。

このようにN;townでは住民の生活に密着して研究を行うことで地域特有の課題を見つけることができ、同時に地元の企業が連携して取り組むことでトータルヘルスケアをさらに強めることができます。今後はこのDemodayで採取できたデータを活かし、「くりえいと宗像内で行うヘルスツーリズム」を計画しています。今後も地域住民の更なる健康促進へ向けてプロジェクトを進めていきます。
住民による体力測定の様子

住民による体力測定の様子

また弊社はこのプロジェクトをもとに外部R&Dの推進を活性化させるプログラム「Living Lab」を運営しています。この「Living Lab」プログラムに参画することで、N;townのような現場を活用してR&Dの仮説検証を行い、企業を超えて出島の形で壁打ちや仮説検証を行うことが可能です。
N;townプロジェクトにスポンサーする形で自社の新規事業を推進することができる点が大変人気であり、現在多くの企業から当プログラムへの申し込みが来ています。詳細についてご興味のある方やご質問のある方は、ぜひSG Labへご連絡ください。

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