2022.10.28

養父市で発見!地方創生の新たな可能性を探る

養父市で発見!地方創生の新たな可能性を探る
慶應義塾大学大学院に通う弊社のインターン生が養父氏に訪れ、その魅力や素晴らしさをレポートいたしました!中国出身の彼女が、自然豊かなこの街で何を見て何を感じたのか、楽しみながらご覧ください!

養父市とは?

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養父市とは、平成16年に兵庫県養父郡の八鹿町・養父町・大屋町および関宮町の4町が合併して成立した町です。
人口は22,129人、世帯数8,388世帯(令和2年国勢調査より)、兵庫県北部の但馬地域の中央に位置し、面積は422.91平方キロメートルで、兵庫県の5.0%、但馬地域の19.8%を占めています。

今回は中国から日本に留学し、弊社でインターン活動をしている大学院生が、去年の11月末にプロジェクトを通し、初めて養父市へ訪れました。そして現地の美しい風景に魅了され、その後、何度も足を運んで、本記事を書きました。

養父市への印象と言えば、雄大な高原の風景,美しい河川、静かな町、新鮮な食材など素敵なものがたくさんありました。
また春には樹齢1000年超える巨大な桜の下で花見をし、夏には川で魚釣り体験、秋になったら養父神社の紅葉観賞を味わい、冬になったら高原でスキーが楽しめます!
そのほかにも城崎温泉、竹野浜海水浴場など有名な観光地も車で半時間内につけることで、かなり居心地がいい場所と感じました。
外国人である私の感想としては、養父市は海外でも有名な日本観光地よりも、日本の山間地風景の美しさを静かに楽しむことができる場所だと感じました。
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戦略特区

養父市は、平成26年に国家戦略特別区域の指定を受け、『中山間地の価値を変える!』と強い意志を持って、様々なまちづくり施策を展開しています。
全国の戦略特区

課題

1.「人口減少問題」
2.「地域の経済力の問題」


現在の養父市は、50年前より約半分以上の人口が減っており、直近 10 年では年率1.30%の人口減少率を越える状況となって、人口減少が加速しています。
更に、人口減少に伴う消費・経済力の低下は、養父市に対して大きな重荷となっています。

この二つの課題を解決するために、養父市の市長である広瀬 栄さんは、国家戦略特区を活かした「地域の新たな生命を育むまち:産業を育み人を育む」を地域の方針と定め、これを実現させるための基本政策を「住んでみたい、住んでよかったと思えるまちづくり」そして「市民と一緒につくるまちづくり」と大きく2つに纏めました。
ではこれらの課題について、養父市ではどんな取り組みが行われていたのでしょうか?

これからの動き

基本政策に対して、具体的な施策が以下になります。
●「住んでみたい、住んでよかったと思えるまちづくり」
① 国家戦略特区を活かした新しい事業の創出と既存企業の支援(スマートアグリ、中小企業支援) 地元企業が参入しやすい入札制度の検討
② 防災・減災(避難計画・避難所の継続的検証)
③ 農福連携(農業の特性を活かした福祉分野への展開)
④ インフラの長寿命化計画・維持・管理:公共施設、道路、橋梁、上下水道、簡易水道
⑤ 広域的連携:地域医療の確保・役割分担、専門職人材育成大学の設立
⑥ 子どもの笑い声があふれるまちづくり:医師確保(八鹿病院、診療所)、給付型奨学金の充実・継続
⑦ 親づくり(子どもに将来養父市に帰って来いよと言える親)
⑧ 小中学校の特色化、魅力化の促進、教育の充実、(図書館の検討、土曜日の有効活用)
⑨ にぎわいスポットづくり(若者スポット、高齢者スポット等の設置支援)
⑩ 養父市固有の自然・文化・歴史・遺産・人的財産を活かした地域づくり(有機の学校)

●「市民と一緒につくるまちづくり」
⑪ 市民提案事業の推進(市民の創意工夫を活かしたまちの運営)
⑫ 地域自治組織の充実
⑬ 予算編成に市民の声を活かす施策の展開
⑭ 空き家対策事業の推進
⑮ 市民一人ひとりの居場所づくり(しごと・保育・介護をつなぐ)女性・男性・こども・若者・高齢者・ 障がい者・外国出身者等すべての市民が輝く(シェアリングエコノミーの実施)
⑯ やぶし愛・やぶらぶ文化の醸成による市民の一体化を図る:現代版青蹊書院の復活、伝統・文化・芸 能の伝承
via 養父市長・ひろせ栄の政策綱領
以上のまちづくり提案で一番感じているのは、市長から住民まで、全員が一心となって養父市を振興させたい、という気持ちがあることです。
養父市へ訪問の際に実施した市役所の役員との意見交換でも、役員たちの自ら養父市に発展に貢献したい熱い気持ちが、積極的なディスカッションから感じられました。

養父市のイベント

養父市の歴史は古く、縄文時代の土器や石器、洞穴祭祀跡が発見され、古墳時代を偲ばせる文化財も多く残っています。
安土桃山時代には一旦廃棄された過去があるものの、江戸時代から但馬地域の交通の要衝として、生糸商が栄えるとともに、近畿諸国における但馬牛取引の拠点となりました。
近年ではコロナ禍の影響によって開催ができず、体験することが不可能ですが、昔のイベント写真から、養父市文化の深さとユニーク感を感じました。その中でも興味深かったいくつかのイベントを紹介します!

伝統的なイベント

●お走り祭り
お走り祭りは、約1800年前より行われ伝統ある無形文化財です。現在は春の祭りとしておこなわれていますが、もとは12月ひつじの日、帰りは翌日で、古くから「未(ひつじ)走りの申(さる)戻り」といっていました。
祭りの日には、朝に「ハットウ、ヨゴザルカ」とかけ声をかけ合いながら、養父神社から出発します。
重さ150キロのみこしを担いでいて、斎神社までの40キロの道のりを往復します。みこしがまるで軽く走っていくように見えたことから「お走り」という名が付いたといわれています。
養父市観光協会サイド (1418)

via 養父市観光協会サイド
若杉ざんざか踊り
太鼓を叩きながら座って踊る「座り踊り」は独特で、 別名「姫踊り」と呼ばれるほど優雅な踊りです。
若杉地区の三柱神社で毎年8月16日に行われる兵庫県指定無形民俗文化財です。祭りの日に、 色鮮やかな装束と花笠を身につけた踊り手が、太鼓の音色に合わせて、古式ゆかしくあでやかな舞を披露します。
養父市観光協会サイド (1420)

via 養父市観光協会サイド
●八木西宮ゑびす祭り
嘉永5年から今現在まで続くお祭りです。
13代将軍 徳川家定の時代に村人数名で西宮総本宮の分霊のお願いにあがりました。
その時、西宮の2文字の使用を許され、焼印と木版を頂きました。
祭りは古くは1月10日に開催していましたが、明治に入り太陽暦変更後は2月10日とし、現在は2月11日(建国記念日)に開催しています。
養父市観光協会サイド (1422)

via 養父市観光協会サイド
●ネッテイ相撲
養父市奥米地の水谷神社で行われる「ネッテイ相撲」は、平安時代から朝廷儀式として行われていたもので、四股を踏むことで悪霊を鎮めるとされる相撲神事です。
養父市観光協会サイド (1424)

via 養父市観光協会サイド
●まいそう祭り
毎年1月14日に御井神社に奉納される伝統行事。
燃えさかる松明の炎で古鬼面(こきめん)姿に木鉾(きぼこ)を持った鬼をたたき、その年の無病息災を願います。
養父市観光協会サイド (1426)

via 養父市観光協会サイド
いかがでしょうか?
外国人である筆者は写真を見るだけでも日本の素晴らしい文化にすごく感銘を受けています!コロナが終息し、これらが再開することがとても楽しみです!

養父市の地方創生

今までの動き

養父市は、過疎化と高齢化が深刻とされていますが、人口流入を促すために、いくつかの政策を施行しています。
美しい自然風景に包まれて生活を過ごしたい方筆者も真面目に移住することを考えています!)に参考になるため、いくつかを紹介いたします。
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暮らし体験

2022年4月より、養父市では田舎暮らしを希望する人が本格的な移住を前に、一定期間、養父市での生活体験を行える場を提供するため、「ちょこっと暮らし住宅」を整備しました。提供する物件は政府所有の空き家で、空き家の再利用政策の試みとして、今後より完全な形で実施するための参考となります。

やぶ暮らし住宅支援制度

やぶ暮らし住宅支援制度は、養父市での暮らしを奨励し、定住を促すため、新たに住宅を確保しようとする方を支援することにより、活気に満ちた元気なまちをつくることを目的としています。

養父市やぶの空き家活用支援事業

養父市では、移住定住を促進するため、空き家バンクに登録する空き家を移住者が購入または賃借し、空き家の機能回復および設備改善のための工事を行う場合に、予算の範囲内で補助金を交付します。

他の地方創生プロジェクト

養父市グリーンステイ
養父市グリーンステイとは、都市部の住民が地方の農業を手伝いながら、田舎暮らしを体験し、心身のリフレッシュや農業技術の習得、農家との交流を図るプロジェクトです。
やぶらぶプロジェクト
やぶらぶプロジェクトは、神戸学院大学現代社会学部 現代社会学科の3つのゼミが、兵庫県養父市と連携し、若者の視点から地域の活性化に取り組むプロジェクトです。
縁結び世話人さん
「縁結び世話人さん」は、養父市の人口減少に歯止めをかけ、若者の移住定住を図るため、昔ながらの世話人さんによる、独身男女への出会いのきっかけをつくり、縁結びを促すプロジェクトです。

地域振興協力者の動き

地域おこし協力隊

地域おこし協力隊は人口減少や高齢化による過疎化している地域において、地域外の優秀な人材を、域振興の提案を持ちながら、協力活動を行う制度です。概ね1年以上3年以下の活動期間に、現住所から採用先自治体に住民票を移動して、地域で暮らしながら活動します。

実際の活動

養父市でも、地域協力隊のメンバー11人が活動しています!ここでは筆者が交流したことある3名のメンバーを紹介します!
まずは松井さんです!
養父市秘密基地プロジェクトの隊員です。基地はまさかの「ほたるの里」にあります!
フリーランスの映像ディレクターとして、TVCMや企業用映像などPR系の仕事がメインです。カメラで養父市の文化や風景を記録して、外界にアピールする活動を行っています。
次は田渕さんです!
ハチ高原の旅館「このはな」を経営しています。学生時代から養父市から出て、都市で何年も生活を送りましたが、家族が経営している旅館を継承するために、養父市に戻りました!現在は旅館を経営しながら、ハチ高原でイベントを開催するなど、いろいろな活動を行っています。
最後紹介したいのは、相澤さんです!
ビールが大好きで、養父市で養父市産の食材を使って、手作りクラフトビールの工場を立ち上げるのが野望とのこと!どのような食材でビールを作るのかとても楽しみです、朝倉山椒なんて使ってみてはいかがでしょう?と筆者は思っています。笑 最近は養父市にあるクレイせっけん製造社NATURE&CLAYと幻の連携が動いているようです!クレイ×ビールはどんな面白い商品が出るのでしょうか?楽しみです!
他にも、かいこを飼育しているメンバーや、「ほたるの館」を管理するメンバーなど、いろいろな活動を行っています!次回また紹介したいです!

養父市のデジタル戦略

養父市は国家DX推進施策に応じて、2021年よりデジタル推進室を開設し、デジタル社会に向けた事業を実施し始まります。地方×DXはどのようなどんなイノベーションが出るのでしょうか?

今までの動き

養父市令和4年の施策方針では、デジタルグローバルに対応していくため、場所や時間、国籍、性別など関係なくつながることができる地域連動型メタバース「バーチャルやぶ」を構築しました。
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メタバースでは、仮想空間であることから自由にまちづくりができますが、地域連動型とすることで養父市の観光名所や実際の風景などを取り込んだまちを創り、養父市の文化なども再現したバーチャル空間を創り出しています。
メタバース市へ来なくても、インターネットによりメタバース上で、養父市の風景と文化を味わえます。このメタバースを利用して、筆者の母国にいる友人たちも養父市の美しさを体験することが可能です!!
加えて、この仮想空間においてデジタル住民票(仮称)を発行し、「つながり市民100万人都市」を目指してまいります。
仮想空間でのつながりが、バーチャル世界で終わることなく、バーチャル養父市に観光することで、養父市をより深く知り、実際に養父市に訪れたい、養父市の事業に寄附をしたい、参画したいと思っていただき、仮想と現実がつながるような仕組みを構築しています。ドキドキしますね!!

これからの動き

また、先端技術の積極的な活用ができる環境を整備していくため、ドローンフィールドの整備を進めています。
国家戦略特区制度の活用により多くの企業がドローンの活用の検討や実証実験を養父市で実施していますが、これらの取組がさらに前進していくような拠点整備を行います。
筆者の所属する大学院の教授は最近ドローンにハマっているのですが、東京では制限があるため飛ばすことが出来ません!!このような悩みがある方は、養父市で自由自在なドローン体験をためしてみませんか?

官学の連携プロジェクト:慶應義塾大学との連携:

地方向け遠隔デジタルテクノロジー経験共有プロジェクト

慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科のCreato!リアルプロジェクトでは、遠隔技術を用いた地方振興ワークショップに関わる研究を行います。今回はこの研究室と連携して、まさかの慶應義塾×養父市の共同研究を起動します!

Creato!は、杉浦一徳教授のリードで、7名の修士学生と9名の博士学生が研究活動を行っています。これからの文字、画像、音声、映像といったメディアコンテンツのあり方に着目しています。
人間の社会構成要素内には、これらのメディアコンテンツを利活用するうえでは、リテラシーが必要になります。様々なリテラシーが混在するこれからの社会の中で、より親和性の高い「リテラシーフリー」メディアとコンテンツの開発を目指します。

またそれらを利活用するコミュニティと社会活動のリデザインを行っていきます。
この中で、Global Computingというプロジェクトがあります。このプロジェクトは、全てのものがインターネットと繋がった世界を目指します。これを実現するために、専門的な知識を必要としない遠隔コミュニケーションの基盤を作成しています。今回の養父市との連携では、遠隔コミュニケーションで交通不便な地域と都市圏を繋げて、経験知共有の実現を目指しています。

過疎地域の教育問題を解決

過疎化地域では都市圏との教育資源偏り状況が存在しています。子供たちに都市圏と同じ最先端技術教育を提供することで,子供頃から都市圏の子供たちと同じレベルの知識を持つことができます。

この目的を達成するために、日本財団のサポートで、養父市では次世代を担う子供たちにIT技術を体験できる居空間「子ども第三の居場所」を作ります。この拠点には、コンピューターを複数設置して、子供たちが自由にいろいろなソフトウェアを利用できます。また、3Dプリンターやドローン、VR設備なども提供しており、子供頃から最先端技術を触ることができます。

本拠点は2023年10月施設整備開始、令和5年4月から事業運営を開始する予定です。
2022年9月18日、先行活動として、「パソコン組み立て親子ワークショップ」は養父市子育て・移住センターで開催されました。これからも、Creato!は養父市と連携し、子供向けの様々なITテクノロジー共有ワークショップを開催する予定です。
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まとめ

筆者は養父市での訪問で、住民たちの地元愛と地域おこし協力隊など外界の人の熱意を感じて、日本の過疎化地域の輝いている未来を見えました。地域の人と外界の人と結び、誰一人取り残さない、地域と都市圏伴に前に進むことは必ず実現できると思います。
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